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猿検知通報装置の製作(電池寿命改善品)

先に掲載した「猿検知通報装置の製作」で作製したセンサー回路は電池寿命が10か月で、目標の「1年以上」を達成できませんでした。
そこで 電池寿命改善の為、検出に用いていたタイマー回路をソフトウェアの処理で行うようなシステムにしました。
更に、センサー回路の電源をリモートON/OFFできるようにして必要な時のみセンサー回路を動作させることができるようにしました。
当記事では改善したシステムの子機回路とソフトウェア関連について書いてあります。システム全容については猿検知通報装置の製作を参照してください。
<2010.05.13>太陽電池を使った子機も作りました。興味ある方は「太陽電池を使った動物センサー子機の製作」を参照してください。

--- 内容 ---
1. 子機回路説明
2. 子機基板製作
3. TWELITE DIPプログラム改造
4. ソフトウェア
5. 後記


1. 子機回路説明

図1に検出部回路を示します。

図1 検出部回路
図1_検出部回路図(Ver.2.0).jpg

コンパレータ出力までは「猿検知通報装置の製作」の回路と同じです。
2つのコンパレータ出力はそれぞれFETのGateに接続され、FETはOpen drain でリード線を使って送信基板に接続されています。検出回路と送信回路では電源が別ですので、送信基板側ではTWELITE DIPの電源電圧 VccにPull upしてあります。
Drainに入っている抵抗は リード線が拾うかもしれないサージノイズからFETを保護、FET ON/OFF時のコンデンサ充放電を緩慢にして短いパルス(チャタリング)を検知しづらくする共にラッシュ電流抑制を兼ねています。
FETはドレイン電流が小さいので汎用のものでも大丈夫ですが、種類を減らすために送信基板のFETと同じものが良いと思います。

<2020.11.11追記>
この検出回路で使っている超高感度フレネルレンズ AE-01(AK-FL1) は現在入手困難な状況です。Panasonic PaPIRsを使った検出回路をお奨めします。回路もシンプルにできますし、性能も良いです。

図2 送信部回路  <2019.09.01 図2変更>
図2_送信部回路図(Ver.2.1).jpg

図2の送信部回路では検出回路のGNDと電池のマイナス(送信部回路のGND)をFETでスイッチしています。
ここのFETは1~1.5V程度でONし、ON抵抗の小さいものを選んでください。
(もし検出回路の電源をON/OFFする必要がない場合は、スイッチFETのDrain とSourceの部分をショートし、* の部品はマウントしないでください。)
Gateに入っているコンデンサーは DOとの間に入った抵抗と共に、ON時にFETのdrain-source間抵抗値を徐々に下げラッシュ電流の制限をします。また、DOに繋がる抵抗は、Vcc電源を入れたり切ったりするときコンデンサーの充放電電流がDO端子経由で流れる際の電流制限を兼ねています。

OUT1, OUT2からの入力線にはコンデンサーが入ってますが、これはコンパレータ出力はチャタリングをしますので、その軽減フィルターを構成するためです。 チャタリングを起こすとTWELITEは無駄な送信をする可能性があります。
DI端子に入る抵抗はVcc電源を入れたり切った時のコンデンサーの充放電電流制限用です。

<2020.06.23追記>
電源をを単一電池1組にする事が出来ました。こちらを参照してください。
<2022.12.07追記>
当記事を書いた時点では焦電センサーの電源電圧がスペックより低くなっても動作する事を個々のセンサー毎に確認して使っていましたが、「乾電池2本使用の焦電センサー用電源」で対処しました。


2. 子機基板製作

回路が減った分 基板作製も楽になりました。
作製プロセスはこちらの資料を参照願います。 => 参照


3. TWELITE DIPプログラム改造

センサーユニットの電源を制御するのに必要な子機のDO出力データを Raspberry Piからシリアル通信で親機のTWELITEに送り そのデータを定期通信時に親機から子機に送れるようにするため、親機のTWELITEのプログラムを改造しました。
改造内容はこちらを参照ください。 => 参照

書き込み用BINファイルを作りましたので、必要な方はダウンロードしてお使いください。
(「モノワイヤレスソフトウェア使用許諾契約書」のコピーを一緒に配布することが条件になってますので入れておきます。)
=> ダウンロード

なお、Blue タイプは動作確認済みですが、Red タイプは動作確認をしてありません。問題ないとは思いますが。

子機のTWELITEは非改造プログラムを使い、インターラクティブモードで、
(1) 子機を特定できるように論理デバイス番号を1から順につけてください。(Saru3.0 以降のソフトでは論理デバイス番号を付けない方法も可能です。) 
(2) 子機間欠1秒モードの間欠時間を 10,000ms に設定してください。
(3) オプションビット設定でDI1 ~ 4 のプルアップ停止してください。(設定値 0x00000800)


4. ソフトウェア

ソフトウェアの概要をまとめましたので参照願います。 => 参照(Ver3.0)

回路で行っていたタイマー機能をシリアルデータ読み取りのThreadに追加しました。
また、センサーの電源のリモートON/OFF機能を有効にしました。

回路で行っていたタイマー機能では、タイマー動作中の繰り返し検出がマスキングされていたのですが、今回の変更では繰り返し検出がある度にTWELITEの送信が行われます。
私がセンサー前を横切った時のTWELITEの送信回数は20回以上あることが多く、ざっと送信回数が5倍ぐらい多くなったように思います。
そこで今度はTWELITEの電池の寿命が心配になりましたので、定期通信(子機間欠1秒モード)のインターバルを5秒から10秒に変更することにしました。(設定はTWELITE DIPのインタラクティブモードで行います。)

メールはTLS暗号化対応していて(version 2.3以降)、Raspberry pi3 にPostfixをインストールする必要があります。「Raspberry Pi に Postfix をインストールする手順」を参照してインストールしてください。

ソフトウェアのダウンロードはこちらから。 (最終更新 2020.09.02)

ソフトウェアの完璧な動作の保証はいたしかねます。またデバッグやアップデートメンテナンスは私の都合で行いますので、使われる方はご自身での修正や変更対応をお願いいたします。

<2019.10.21追記>
「Raspbian OSのインストールから 3.5"LCDを搭載した装置が機能するまでの設定方法」をまとめました。 => 「Raspi3セットアップ手順」参照。


5. 後記

前回の記事を掲載してから、もし作ってみたいという方がおられたら部品を減らした方式の方を紹介した方が良いと思い、急いで資料をまとめてみました。
年末に帰国した際に親戚の家周辺に設置してある従来の子機4機のうち2機を交換しようと、不眠不休で2台分作り、プログラムも対応しました。(仕事は? 遅れず休まず働かずではないけど、ちゃんとほどほどにやってます。)
今のところこの2機は問題なく動いてます。電池寿命1年以上の目標なので、また1年ぐらいかけての実証実験となります。
でも、前記事にも書きましたが、センサー子機を置くようにしてから猿が出て来なくなってしまいました。電池寿命を気にしなくて済むので、子機の形状をした案山子の効果も確かめてみたくなりました。

[追記]
プログラムの基本的な検知機能に不具合がありましたので、 主にシリアル通信受信部(Thread 1) を変更して Saru2.2 ( Version 2.2) としてリリースしました。settings ファイルも一部変更がありますので、同じパッケージのものを使ってください。(2019.01.16)


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