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自作焦電センサー回路を使った動体検知(1/3)

 これまで私の動体検知装置に関する記事(猿検知通報装置の製作猿検知通報装置の製作(電池寿命改善品) など)では初めは自作の焦電センサー回路を使っていましたが、途中より製作が簡単である事から専らPanasonicのPaPIRsを使う事が多くなっていました。
最近、以前購入しておいた超高感度フレネルレンズ AE-01(AK-FL1)を使いきってしまおうと自作回路を組むことにしたのですが、 以前使っていたOPアンプ NJU7014 は簡単に入手できず また値段も高いので置き換えることにしました。

OPアンプとコンパレーターは秋月電子で購入できるものの中から電池による長時間駆動を考えて消費電力が小さいものを選び、OPアンプはNJU77552GとS-89431BCFM-H4DTFU (以降S-89431と呼びます)、コンパレータはNJU77242RB1を使って実際に回路を作ってみました。
初期の回路ではOPアンプ NJU7014を信号増幅とコンパレータ用途に使っていましたが、今回はコンパレータは専用ICにしました。

表1 デバイスの消費電流
消費電流.jpg

表1に各デバイスの消費電流を示します。
これまで使っていたNJU7014に比べるとNJU77552Gは消費電流が大きくなっていますが、それでもNJU77552GとNJU77242RB1で構成される回路の消費電流はPaPIRsのEKMCシリーズより小さいので電池寿命的にはEKMCシリーズより長持ちすると思います。
S-89431BCFM-H4DTFU は極めて消費電流が小さく、電池寿命を大きく伸ばせると期待して実験することにしました。


== 回路構成 ==

NJU77552G、S-89431BCFM-H4DTFUを使った回路を図1に示します。

図1 焦電センサー回路
焦電センサー回路.jpg

電源はここには書いてありませんがこの焦電センサー回路専用の3V レギュレーターから供給しています。

焦電センサーメーカーの資料などでは2段目のOPアンプは反転構成にしてありますが、ここでは以前作ったNJU7014用回路構成をそのまま使っています。 NJU7014は出力電流が小さく、反転アンプの比較的低い入力抵抗ではゲインが食われて十分な増幅ができませんでした。

人が移動したときの焦電センサー出力信号の周波数成分は0.1~10Hz程度らしい(こちらの記事)ので、オペアンプ回路の定数はこの記事を参考にしました。

図2 OPアンプノイズ
OPアンプノイズ.jpg

NJU77552G、S-89431共にNJU7014に比べると低周波ノイズ が大きく(特にS-89431は大きい = 図2)、そのためセンサー信号がコンパレーター閾値近くになると検出パルスのチャタリングを生じます。
チャタリングがあっても回路によっては無視して問題ないようにする事もできますが、今回は後段にPICを繋いで割り込み処理を考えているので処理負荷軽減のためにチャタリングを押さえたく、コンパレーターにヒステリシス特性を持たせました。
このためコンパレータ周辺の回路が複雑になっていて、FETによるバッファ兼インバータ回路を追加も必要になりました。

閾値電圧及びヒステリシス電圧の生成回路は高インピーダンスで微小電流なので注意が必要です。
オシロスコープのプローブを当てただけで電圧は変わってしまうので、例えば閾値の電圧を調べるにはコンパレータへのセンサー信号入力とコンパレータ出力の夫々にオシロスコープのプローブを繋ぎ、センサー信号を変化させてコンパレータ出力に検出パルスを生じせしめ その立上がり/立下りにおけるセンサー信号の電圧を読み取るようにします。
ダイオードは同じ型名でも個体間差があるかもしれませんし、異なる型の場合は一層違いが生じるかもしれませんのでオシロスコープでの確認がどうしても必要になります。

以下は図1の回路の閾値実測結果です。
上側検出ON閾値: 1.78V
上側検出OFF閾値: 1.64V ヒステリシス 0.14V (1.78-1.64)
下側検出ON閾値: 1.26V
下側検出OFF閾値: 1.38V ヒステリシス 0.12V (1.38-1.26)

検出ONの閾値はわずかに上側にシフトしていますが、たまたまセンサー信号のOPアンプ出力平均電圧が上側(Vdd/2 = 1.5Vより上)に少しずれているのでこのままにしました。(ちなみにOPアンプ出力の平均電圧を変えるには5番ピンに繋がるバイアス抵抗の値を変えればできます。)

上側下側の検出OFF閾値は、OPアンプの平均出力電圧が常にそれらの間にあるように設定し 且つ必要なヒステリシスが得られる範囲で出来るだけ検出ON閾値に近い電圧に設定します。
そうなっていないと検出時にアクティブになった検出パルスがノンアクティブに戻らなかったり、戻るのに時間が長くかかる事があります。

コンパレーター回路が複雑になり従来のセンサーユニットの基板に回路を載せきれなくなったので、コンパレーター回路は次の段の基板に搭載しました。


== 検出距離 ==

(測定方法)
・NJU7014は従来の回路(猿検知通報装置の製作(電池寿命改善品)の図1)
・NJU77552G、S-89431は図1の回路
・センサー高さ 約45cm
・大人が秒速 1.5m程度で歩いてセンサー前方を横断し、検出可能なセンサーからの最大距離を測定。
・検出方法は異極順次検出パルス方式(猿検知通報装置の製作 の 2.検出方法参照。)

(結果)
いずれも 約26m で同等。

検出距離は天気、気温、背景など環境に影響され、ここに示す値は常に得られるものではありません。 26mという値は比較的良い環境条件下のものと思います。


== 結論 ==

 NJU77552G、S-89431は検出距離に関しては従来使ってきたNJU7014と同等。
但し、ノイズが比較的大きいのでそれによる誤検出あるいは本来検出すべきところ検出できないなどが起きかねず、これについて調査が必要。


次回は検出パルスの処理について書きます。
その検討の中で上記のNJU77552G、S-89431の検出確度を見て行きたいと思います。


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