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簡単に作れる人動物検知無線通報装置

(2022.04.26) 子機の回路変更しました。
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 焦電センサーを使って人・動物を検出し、その情報を無線で通報する装置をできるだけ簡単に作ろうと思いました。
猿検知通報装置では検出信号を処理するためにRaspberry pi、ESP8266、Arduino Nano等を使ったのでプログラムの書き込みや設定に関する知識が必要で手間もかかりました。また専用の機器を使ってTWELITE(MONO Wireless社製無線通信デバイス)のプログラム書き込みや設定を行うといった事も必要でしたので、製作のハードルがちょっと高かったかも知れません。
 今回は検出信号処理用のコンピュータは使用せず、TWELITEはソフトウェア的には購入した時のままの状態で使えるシステムを作りました。

製作した親機の写真
簡単通報システム親機.jpg


回路図
回路図はこちらを参照してください。
<2022.04.26> 検出時のパルス幅(Lowレベル)がTWELITE標準アプリの要求する時間より短かったので信号が送信されないことがありました。 対策の回路変更をしました。


子機回路
センサーはPanasonicのPaPIRsシリーズを使っています。(電源電圧と検出時のパルス極性が同じであれば他の焦電センサーモジュールでも使用可能。)
センサーは電源を入れた後 安定動作をするまでしばらく時間がかかります。1、2分かかることがあるかもしれません。初めはこれを忘れていて検討中に原因究明に時間を費やした事があります。

子機の回路はシンプルで、センサー出力をFETで反転してTWELITEのDI(Digital Input)端子に接続しています。
センサー基板と送信基板を分離しているので基板ハンドリング時のESD対策としてそれぞれに100Ωを入れましたが、基板を分離しない時は不要です。
<2022.04.26> 1uFの追加(上記回路図参照)に伴い、デバイス保護のためこれらの100Ωは必ず入れて下さい。(FET側はFET ON時の放電電流制限用、TWELITE側は電源ON/OFF時の内部入力保護ダイオード経由のラッシュ電流制限用です。)

センサーによっては電源電圧3V以上の仕様になっているので その場合には電池1.5Vx3個直列で使用しますが、 TWELITEの電源範囲を超えますのでレギュレータを入れて範囲内の電圧にします。
電池寿命に影響するので、レギュレータは出来る限り損失の少ないものを選んでください。

TWELITEはM1, M2, M3をGNDに繋いで間欠10秒モードで使用します。これで検出時以外にも10秒間隔で子機の状態を親機に送信します。
検出信号はDI入力レベルがHighからLowに変化した瞬間に親機に送られ、対応する親機のDOをLowにします。これをLowからHighに戻すには子機のDIがHighの時に定期通信が行われる必要があり*、もし親機のDOがLowの間に子機が検出をし続けると親機DOはずーっとLowであり続けるのでマルチバイブレータにトリガーをかけることが出来ず、この間の検出に対してはLED点灯とアラーム音出力ができなくなります。
また、このようにセンサーの検出状態が続かない時でも次の検出が可能になるまでの時間は 最大で間欠時間に相当する時間(10秒)を要します。
このような事からアラーム動作が不安定的になる事がありますが、最初の検知に対しては確実にアラーム動作するので実用上は問題ないと考えます。
*子機が複数ある場合は他の子機が通信をすることでもDIはHighに戻りますが、ここでは子機1台を前提にしています。

センサーには番号(1~4)を付け、その出力は対応するDI番号に接続します。(複数の子機TWELITEにセンサーを繋ぐ場合、相手のTWELITEに関わらずセンサー番号に対応するDIに接続します。)
親機のDO出力は 子機TWELITEが複数ある場合何れの子機のDI変化にも対応してしまい、どの子機からの信号か判別できません。このため全子機を通して1つのDI番号には1つのセンサーしか接続しないようにしているので、使用可能な最大センサー数は4個になります。

<2023.01.18追記>
PaPIRs焦電センサーを使った無線子機の製作(最新仕様)」で、子機の小型化、ソーラー電源化を含めた内容を書きました。 <追記終わり>


親機回路
TWELITEの標準アプリでは子機のDI端子がHigh->Low変化を検出すると親機の対応するDO(Digital Output)端子がHigh->Lowレベルになります。
各DO端子に繋がれたモノステーブルマルチバイブレータ(74HC423 または74HC123)はDOレベルがHigh->Lowに変化した時にトリガーがかかって一定の時間幅のパルス(現回路定数では約7秒)を生じます。このパルスの間LEDを点灯し、メロディICに電源が供給されて音を出すようになっています。
LED点灯時間やアラームの出音時間を変えたい場合にはマルチバイブレータの時定数を変えて下さい。(680kをボリュームにすれば可変にできます)
センサーが2つ以下であればマルチバイブレータのICは1つで済みます。

LEDの電流制限抵抗は使用するLEDが必要な輝度となるように選びますが、ドライブ回路による制約もあります。TC74HC243では4mA以下で使わなければなりません。私の使ったLEDではこの回路構成で約2mAでした。

オーディオ回路はノイズが気になることがあります。
一つは3.3Vラインのノイズが原因で、TWELITEが発生源です。TWELITEの近くに47uFまたは100uFのデカプリングコンデンサを入れて電源ノイズレベルを小さくします。
もう一つはアンプの電源(5V)のノイズです。私の場合は5Vラインに10uHのインダクターを入れて改善しましたが、場合によってはレギュレータを入れる事が必要になるかも知れません。


製作
親機製作はこちらを参照してください。

子機は回路もシンプルなので製作資料は作りませんでした。
製作上の注意点としては、TWELITEから放出されるマイクロ波はセンサーに影響を及ぼしますので、アンテナとセンサーはできるだけ離して配置してください。アンテナとセンサーの向きにもよりますが、最小でも5cm以上は取った方が良いと思います。
ともあれ、コンパクトな収納にしたい場合は その基板、アンテナ、収納形態で誤検出が起きないか事前に充分確認をした方が良いです。

(2020.11.9追記)
EKMB1301111Kを使った屋内用子機を作りました。=> 参照 (2022.04.26 回路図修正)
(2020.11.7追記)
こちらにあるEKMB1303111Kを使った猿検知用の子機は、回路やセンサー種類・取り付け方法などは変える必要があるとは思いますが 収納ケースの参考になるかもしれません。
(2022.12.07追記)
乾電池2本化した円筒型子機製作=> 参照


センサーについて
使用するセンサーについては電池2個で駆動できるEKMBシリーズの方が断然良いです。
EKMB1303111Kを2個とTWELITE(10秒間隔の定期通信)を単4アルカリ乾電池で駆動して実験していますが、2か月経っても2.9Vですので最小動作電圧の2.3Vになるまでは3~4か月は持つと思います。
単3電池を使えば、単4電池のざっと3倍位の容量ですので10か月程度、更にセンサーが1個なら1年以上は電池寿命があると思います。
EKMC1604111を2個とTWELITEでは約50日で4.8V(電池3個使い)から最小動作電圧の3Vまで低下しました。

検出距離を実測したところ EKMC1604111 が約12mに対し、EKMB1303111K は約15m あって優位でした。(検出距離は環境条件でかなり異なります。)

検出性能、電池の数と寿命(ランニングコスト)、収納ケースのサイズなどを考えるとEKMBを使った方が良いでしょう。
センサー価格は、EKMC1603111は520円(秋月電子)でKMB1303111Kは通販価格が2,000~3,000円位します。
ただ秋月電子でEKMB1301111Kが1,080円で売っているので、それとEKMC1603111(520円)を購入して前者のセンサーと後者のレンズを組み合わせればEKMB1303111Kになります。(計1,600円)
これは検出距離12mタイプのセンサーの場合ですが、検出距離5mタイプのセンサーであればEKMB1301111Kそのもの1,080円で入手できます。


混信について
当装置の周辺でTWELITEの標準アプリを使った別機器があるとそれと混信して誤動作を生じます。
その場合は、使いたくなかったTWELITE R2(トワイライター2)やTWELITE Rと言った専用インターフェース機器を使った設定がどうしても必要になります。
インタラクティブモードで、周波数チャンネルを変更したりアプリケーションIDを変更してグルーピングする事が必要になります。詳しくはMONO WIRELESSのWebサイトを参照してください。


後記
焦電センサー前方に障害物が無く また直射・反射の太陽光も入らない環境、夜間だけ使う、屋内やビニールハウス内に設置するなど、誤動作の起きにくい場所や環境で使う場合には今回作ったような簡単な装置で充分役立つと思います。
今年も畑や果樹園などで作物の盗難が多発しましたが、そういった侵入者の検知や猿等の動物検知に有用な装置を比較的簡単且つ安価に作れたと思っています。
少しでも皆さんのお役に立てて頂ければ幸いです。


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