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小電力ソーラー電源

これまで「太陽電池を使った動物センサー子機の製作」、「太陽電池を使ったMONO TWELITE中継器の製作」、「LED動物撃退器の製作」の記事でソーラーパネルとニッケル水素電池を使った電源を使用してきました。
その際 電源の効率を高めるためと思い、「パネルの出力電圧が蓄電池の電圧より低くなっても 回路を駆動するには十分な出力電圧の時はその電力を回路に供給する」という方式を採りました。
しかし「蓄電池の電圧より低くなっても回路を駆動するには十分な出力電圧の時」というのは時間的には短く、またその時に得られるパネル電力・電流は小さくて、この方式の効果はあまり無いように思えて来ました。(大電力パネルの場合は効果があるかもしれません。)
そこで思い切ってこの方式をやめて回路構成を検討したところ、オーソドックスなパネル、ダイオード、電流制限抵抗、ニッケル水素電池のシンプル構成でよいという結論に至りました。
図1にその回路を示します。

図1 新ソーラー電源回路
ソーラー電源回路.jpg

前述の3件の製作では今後この回路を推奨することにしようと思います。

 これらの電源は製作記事特定の回路用で、実はパネル出力を最大限有効に使っているわけではありません。中継器用電源では蓄電池電圧は2.4~3V程度なので電流制限抵抗で熱になっている電力があります。(蓄電池電圧を3.6~4.5Vにした構成にすれば熱によるロスは減らせますが、2本の電池代が余計にかかる事とTWELITEに過電圧がかからないようにレギュレータを入れたりしないといけないので、この構成にしてあります。)
 今後次の各パネルで3.3Vレギュレーター出力の電源とした時にメンテナンスフリーでどの程度の電流を取れるかを調べたいと思います。

--型名 (電力) --
LR0GC02 (0.3W)
SY-M1.15W_a (1.15W)
SY-M2W (2W)

実験回路は図2に示すもので、負荷の抵抗値Rを変えて負荷電流と充電の過不足との関係を調べます。
この抵抗に流れる負荷電流は3.3V出力のシリーズレギュレータを入れたときの出力電流と見なせます。

図2 ソーラーパネル電源充放電実験用回路
充放電実験回路.jpg
この回路は実験用で、最終的な回路は図3です。

パネル1、2についてそれぞれ負荷抵抗を 270Ω(平均約15mA)、 100Ω(平均約40mA)にして9月下旬に1週間ぐらい実験したところ晴れた日が多いにもかかわらず電圧値が徐々に低下したので、この電流は無理と判断しました。抵抗値を変えて測定してますが、晴れの日が続けば徐々に電圧が上昇するようでないと充電能力に余力がないのでメンテナンスフリーはできません。

//2022.01.07 追記
図2の各回路について、日照時間の短い時期の晴天時に消費電流以上の余剰電力が生じる最大負荷電流について実験で調べてみました。

パネル1 (LR0GC02 回路)  最大 10mA / 3.3V
パネル2 (SY-M1.15W 回路)  最大 30mA / 3.3V
パネル3 (SY-M2W 回路)   最大 50mA / 3.3V

実験条件やデータはこちらを参照してください。
ごちゃごちゃ書いてあって分かりづらいと思いますが、負荷電流とグラフ内の赤い矢印の向きに注目してください。
矢印が上向きであれば余剰電力があって蓄電量が増加します(限度はあります)が、下向きであれば負荷電流が充電量より大きく徐々に電圧は低下してしまいます。

バッテリーメンテナンスフリー化できるかどうかは蓄電量にも関わっていて、LR0GC02 と SY-M1.15Wの回路では連続して2日間充電が無いと電圧が目標下限値を下回りそうなので少し心配ですが、実用できる可能性はあると思います。
 蓄電容量は蓄電池を並列にすれば増えるのですが、今回実験した回路では実際の蓄電量が思ったほど増えず蓄電効率が悪いようで検討の余地があります。 //

(電池容量について)
ニッケル水素電池がフル充電になると、電池に流れ込む電流は充電に寄与するよりも発熱になってしまうと思われるのでこの電流値はある値以下に抑えなければなりません。
トリクル充電の目安を用いて私はこの値が電池容量(mAh) の1/20以下になるように、あるいは逆に電池容量をこの値の20倍以上にするようにしています。
(あまり理論は知らないのでこれが正しいかどうかわかりません。実験でどうなるか確認です。)
実験回路で電流制限抵抗のように入れてあるのは電流測定用で、この記事の回路の場合入れなくてもよいものです。この場合パネル電流は短絡電流を適用し その20倍を求めると、

LR0GC02: 75mA x 20 = 1500mAh
SY-M1.15W: 270mA x 20 = 5400mAh
SY-M2W: 390mA x 20 = 7800mAh

を目標電池容量にします。


ソーラー電源回路最終形  2022/01/31追記

上述のLR0GC02 とSY-M1.15Wの蓄電量が少なく放電時間が短かった件で、蓄電池を変更あるいは追加して再度実験しました。
=> 再実験データ

データにあるように放電が下限電圧になるまでの日数が2日であったものが凡そ7日間と余裕ができました。
今回の実験の結果を踏まえて自分なりの最終形として図3のような回路にしました。

図3 ソーラーパネル電源回路最終形
小型ソーラーパネル電源回路.jpg

これらはそれぞれ平均電流が10mA, 30mA, 50mAの場合の構成で、日照時間が短い時期でも電池が切れない事に重点をおいてます。
この構成でもし負荷電流がある程度小さい場合は夏場に過充電をして電池の劣化を早める可能性がありますので、電流制限抵抗値と必要な蓄電容量を見直すことが必要になります。その結果蓄電池の数を減らすこともできるかもしれませんが、検討が面倒な場合はダミーの負荷抵抗を入れてこの電流に近くなるようにするのが手っ取り早いと思います。

ところでグラフを見ると放電時間が長く取れるのは日々の放電後の電圧が4V以上(3直列の場合)で、3.9V程度ではかなり短くなります。
電池1本あたりで見ると1.33V以上であれば蓄電量が大きいが1.3Vでは小さいということで、僅か0.03Vで大きな違いがあるようです。
中継器(単三2本直列を2組並列)の電圧を見ると約2.7Vで1本あたり1.35Vとなります。放電時間を見ると5日以上とれて、やはり良好な蓄電状態になっています。
この事から今後、「天気が良い日が続いたときの毎日の放電後の蓄電池電圧が電池1本あたり1.35V以上である」ことを目標にしようと思います。


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